ダウト。

ここに書くのは久しぶりだな。やあみんな元気? 私は違ふけれども君たちが元気なら嬉しく…はないな。どうでもいいや。

さて。ここに戻つて来たのは理由がある。まづは下の記事を御覧いただきたい。ネット論客108星(既に死語つぽいけどいいやどうでも)の一人として名高い白饅頭氏の論考なのだが。
白饅頭日誌:8月23日「“あなた”が好きということ――VR世界の好意」|白饅頭 @terrakei07|note(ノート)

彼は以前から、(特に成人男性の)肉体が持つ「意に反する暴力性」がVR技術で「harmlessなひとりの人間」となることの可能性*1について度々触れてきた。それについて異論はない。卓見であると素直に思ふ。ただ、それがもたらす未来について彼が抱く「懸念」だが、これについては疑義がある。それについて指摘したくなりかうして久方ぶりにはてなダイアリーに戻つてきた。はてブの100文字なりTwitterの140文字で指摘することができればよかつたのだが流石に無理なので。
彼は言ふ。

すべての人が、とりあえず外見的には不快感を催さなくなった世界、もちろん外見の好みによって多少の変動はあるにしても、「不快感」「恐怖感」を覚えるほどではなくなった世界。そこでもし、ふたたび人間が序列化されるとしたら、なにが基準になるだろうか。

 思わず抱きしめたくなるくらいにかわいらしい姿に皆が変わったにも関わらず、それぞれの周囲に集まってくる人の数に差ができるとしたら――人のもつ根源的な格差、すなわち「魂の格差」をかぎりなく示していることになりはしないだろうか。

せやろか。
ある個人がVR技術の力で愛らしい外見になつたとして、その後やはり何らかの序列化が起きるといふのは間違ひなくその通りだらう。ただそれが「魂の格差」であるといふのは違ふのではないか。そこで人の好悪の感情を刺戟して新たな較差社会の基準となるのは「話しかた(口調や抑揚、間の取りかたなど)」「話題の選択」等から醸し出される「雰囲気」になるのではなからうか。そしてその場合において人が他者をはかる際も、ガンダムニュータイプでもあるまいし直接に精神を感応させてゐるわけではなく、飽くまで他者の「表現」を自らの「知覚」が受容した結果を「解釈」してゐる以上、それは「魂(=内面)」を評価してゐるわけではなくやはり「外面」を品定めしてゐるにすぎないのではなからうか。
つまるところ、VR技術の導入による「意に反する暴力性」を削ぎ落すことのできた世界は、「和歌が上手い奴がイケメン」な平安貴族のそれと類似した何かであり、「イケメン=内面も優れた人」といふ従来からのルッキズムとは「評価の物差し」が異なるだけで同一の次元にあるものではなからうか。確かにそれはある種のパラダイム転換かもしれないが、「出生に基づく*2造形的な美醜」以外の何ごとかが新たな人間の評価基準になつた世界を「『魂の格差』が評価される世界」であると評価するのは性急の謗りを免れず、現在のルッキズムと同じ陥穽に落ちてゐるのではないかと懸念されてならない。
旧約聖書には「日の下には新しき者あらざるなり」といふ一節があるといふ。そして水上悟志先生の名作『惑星のさみだれ』には「敵を作るな 腹を刺される 味方を作るな 背中を刺される おれもお前も 人間は全てクズだ」といふ人間社会についての至言といつていい台詞を主人公の祖父が口にしてゐる。VR技術で見た目がどうにかなつても人が人である以上、そこは変はることはないのではなからうか。

*1:或いはさうならうとする「祈り」とでも形容すべきか

*2:整形とか事故とかで後天的な何かもあるにせよ

母帰ル。

大宮駅の新幹線改札口で母を見送つた後、私も改札を出る。
騒がしい方向に目を向けると、ふくしま何とかフェアとやらで若い女性二人がハワイアンダンスらしきものを踊つてゐた。解せぬ。
その隣で物産販売をやつてゐたので大塩シューアイスなるものを買ひ、切符を購入して再び改札に。入つてすぐのところにゴミ箱があつたのでそこでシューアイスを食べる。
もそもそと食べ終はる直前に、白杖をもつた人が目の前でうろうろしてゐることに気づいたので声をかけてみた。埼京線に行きたいらしい。目の前にエレベーターがあると伝へたのだが、階段がいいと。解せぬ。
仕方がないので腕を出したのだが、背中に触れてきた。さうだね、丸つこい中年男二人が腕を組むのは絵面としては見苦しいね。これは私の配慮が足りなかつた。
階段の前まで案内すると(エスカレーターも嫌らしい。解せぬ)、礼を言つて去つていつた。

柄でもないことをした。他の誰かがやればせずに済んだものを。

寒い。

帰省のため新幹線に乗つたわけだが。

  • 「泣き喚く車内のガキうるせえ」と苛ついてゐたら越後湯沢を寝過ごしてガーラ湯沢
  • 「発車直後に停まつた駅から乗車してきたスキー帰りのリア充どもうるせえ」と苛ついてゐたらそこが越後湯沢であることに気付かず

先程から自分への憤りで声も出ないほど胸が苦しい。
どうせならこのまま心停止してくれると面倒がないのだが。

本日の調達品。

ネモが活躍しとる…


悪い大人に騙されて

悪い大人に騙されて

まだ聴いてゐる最中の感想だが、決して上手いわけではない上にネタにするほどの面白みもない。
といふわけで私としては購入はおすすめできない。