「第二次世界大戦とは何だったのか」(福田和也)ISBN4-480-85773-7

まだ読了してゐないのだけれども。事実上敗戦国だつたフランスを口八丁で戦勝国にしたド・ゴールについての記述が興味深い。また、チャーチルについて手厳しい評価(私は実に妥当だと思ふ)を下してもゐる。私はチャーチルを持ち上げる人間の知性について、三割方引いて考へる口なので、久方ぶりに膝を打ちたくなつた。重過ぎる重量に健気に耐へてゐる私の膝にそんな無体な真似はしないが。
半可通な知識を誇る者は、チェンバレンの宥和政策を批判するが、イギリスがナチスドイツに抵抗できるだけの軍事力を整備したのは彼といふことを失念してゐるか意図的に無視してゐるのは何故だらうと私は訝しく思ふ。
また、著者はかくも我が国に底冷えのする位の悪意を持つてゐた人物に対し、日本人の評価が高いことに疑問を呈してゐる。世界帝国としての自国の歴史に終止符を打ち、かつての植民地の属国にした男が「英雄」たる筈もないのだが…