さういふことは他所でやれ

今日の当てが外れたので駅のホームで本を読み時間を潰す。
衣擦れの音がしたので、その方向を見ると、女子高生と思しき寸胴の物体が服を直してゐた。
いや、ブラウスの裾をだらしなく引つ張り出すのは「直す」とは言はんかと、半ば呆然と様子を窺ふと、ホームの転落防止用の硝子壁を姿見代はりに髪を整へたりしてゐた。最後に小型の鏡を取り出しスカートの後ろをチェックし、満足したらしく立ち去つた。
俗に女は見られて美しくなるといふ。だが見られても意に介さぬ心の在り様の持ち主は、それに相応しい外見ではあるやうだ。卵が先か鶏が先か知らんがね。