資生堂曰く「薄毛は子孫に迷惑」ださうで。

ええ、まつたくもつてそのとほりですね((株)ライオン製品「薬用毛髪力 イノベート」を頭皮に塗り込み丹念にマッサージしつつ棒読み)。
喪板で拾つた。
http://drive.kakiko.com/2ch/news/shiseido.HTML
いやま、イケメンがスキンヘッドにしてゐるのは格好良いと評価されても、並以下の男の薄毛やハゲは普通マイナス評価の対象だよな。
で、下の方はそれは謂はれなき差別であり優生思想につながるとして激しく指弾されてをられる。これまたそのとほりと言ふほかない。
http://biotronique.jp/politics/archive_2005-04-25
薄毛は子孫に迷惑だからといつて育毛剤を売りつける資生堂の神経も大したものだが*1、差別(・A・)イクナイ! と正論を述べたところでどうにもならん気がする。「レイシズムは人間が持つ根元的な欠陥」*2だからだ。御大は登場人物にレイシズムといふ言葉を使はせてゐるが、差別主義とした方が人の本質に近い。人は差別するのも他者を踏み躙るのも大好きな生き物だから。その意味で資生堂の今回の発言は、ハゲや薄毛に悩む人々の心の痛みに全く無頓着ではあるが、差別主義を闡明した点で実に正直で潔いとは思ふ。許せはしないが。
しかし差別主義者でございと公言して生きるといふのは、自覚せざる差別主義者*3がうるさい今日において利口な生き方ではない。結局自らの裡の差別主義を自覚して、表面を取り繕つて生きる他ないのではなからうか。自らの浅ましさを自嘲しながら。
ものすごい凡庸な結論になつてしまつた。これだから私はモテないんだな、うん。


(追記)
キーワード「資生堂」をたどつてみたところ、本件を取り上げてゐるところで資生堂に批判的なところが意外に多かつた。世間のハゲや薄毛の人に対する温かいとはとてもいへない視線を考へると、驚きを通り越して正直不気味な光景である。
「反良識的なこと」を発言した者に対しては、内心で同じことを思つてゐてもとりあへず批判しとけといふことだらうか。
正直余り気分の良いものではない。

*1:育毛剤がめでたく効果を発揮したからといつてそれが遺伝するといふものではあるまい。

*2:征途3」(佐藤大輔著、ISBN:4198500568)P225より

*3:平たくいふと自分のことを良心的な人間だと信じて疑はない、度しがたい莫迦どものことだ。