伝聞情報で良ければ。

元北大教授にして元極地研所長の学者がノルウェーの大学(ベルゲン大ださうな)に勝手に北大の地震計5台を2千万円で売つ払つて逮捕された件について。彼の同業の方から「聞いた話だけどね」と興味深い話を聞いた。
あれは北大の備品を売つ払つて私腹を肥やしたとかいふわけではなく、北大と共同研究をしてゐるベルゲン大がカネがないので*1、北大の先生に地震計の製作を依頼し、その先生の研究室で地震計を製作、ベルゲン大に引き渡したといふことらしい。で、その代金は全部研究費に回したと。
で、これが何故問題になるのかといふと、どうやら大学事務を一切通さずやつたらしい。だから製作した際に北大はそれを備品と認識し、それが「無断」で「売却」されたので大騒ぎになつたとの由。
事前に事務に話を入れてゐれば製造請負契約として処理するから何の問題もなく済むものを、何故かういふ真似をしたかについては私も予想がつく。要はピンハネされたくなかつたのだ。
簡単に説明する。たとへばとあるプロジェクトの遂行にこれだけ必要だとして、現場の教授がA円を予算要求するとする。それがあれやこれやの手続きを経て予算が付き、B円が文部科学省から大学に来る。この時点でかなり削られる。次に大学本部が管理経費だとか間接経費だとかいつて金を抜いてC円になる。その次に学部や部局が本部と同じ名目で金を抜いてD円になる。ちなみに本省は当然B円分の成果を要求する(往々にしてA円のこともある)。といふわけで莫迦正直に必要最低限の予算しか要求しないとプロジェクトが開始時点でどうにもならなくなつてゐたり。だつたらどうするのさといふ疑問については、私の立場が危なくなるので黙秘権を行使します。つか想像つくだろ。私の首を飛ばす気か*2
以上説明終はり。本件に当てはめるとどうなるかは各自で考へてくれ。私なりの説明も書いてみようとしたが、あらぬ方向に話が進んで首回りにアンメルツヨコヨコたつぷり塗られたやうな気分になつたからやめとく。といふか途中で文章消えてやる気なくした。何で勝手に落ちやがるかなこのFOMA端末は。
何か彼の所属学会では言ひ訳するか詫び入れるか揉めてるらしいが私は事務屋だから知らん。

*1:一般企業の製品だとその額では3台程度しか買へないらしい。

*2:もつとも私が何かしたことはないが。と、見苦しいが予防線張つておく。予算をどうかうできる偉い人だつたことないのは事実だし。