臣民に与ふる書。

週間朝日の中吊広告。

国愛すればこそ
「小泉靖国参拝」モノ申す

▼「陛下のお言葉を軽んじる小泉は許せない」遺族会からも異論続出!
▼「エセ右翼小泉純一郎靖国参拝の資格なし」一水会代表・木村三浩
▼「親の心子知らず」と言われた松平宮司は「不忠の臣」田岡俊次ほか

いやいや平成の御代にもこれだけ忠良な臣民がゐるとは実に心強いことだな諸君。
「朝日の主張と反対に行動すれば間違ひない」といふ意見がある。戦前は軍国主義を煽り、戦後は共産主義圏を賛美した朝日の姿勢が誤りだつたことによる経験主義的な発想によるものだらう。
だがちよつと待つてほしい。一発だけなら、誤射かもしれない。「朝日の主張が常に間違つてゐる」といふ命題の正しさは「朝日と正反対の主張は常に正しい」ことを意味しない。それは短絡に過ぎる。
それではよりよき意思決定において「朝日の主張」はどう生かされるべきか。それは「朝日の主張は常に選択肢から排除すべき」といふだけに留まる。横着したければ、「朝日の主張に類似するものも選択肢から排除」できることにならうが、私としては正直おすすめしない。Aの扉の先に落し穴があるからといつて、その隣のBの扉の先にも落し穴があるとは限らない。ただ隣り合つてゐる以上その落し穴が横に広がつてゐてBの扉の先にも落し穴がある可能性は低いものではないといへるだけだ。
朝日が忠臣面し始めたことを以て「そろそろ社会は左傾化される必要がある」などと考へるのは愚の骨頂であらう。軽挙妄動は厳に慎むべし。朝日が大御心を振りかざしてゐるといふ事実からは「自らの政治的意向を公的に表明できない君主(それも故人である前君主)の意見を自説の補強材料にする輩は近代立憲君主制国家における『国家の敵』である」以上のことは導出できない筈だ。忠良なる日本国臣民の皆様におかれましては良く弁へていただきたい。
月曜の朝つぱらから長々と書いたが、要は「いきなり忠臣面する俄かエセ右翼どもかかつてこいや」といふ話である。もつとも本当にかかつてこられても面倒だから相手する気欠片もないけど。第一コワイし。