ご破算で願ひましては。

地球より重くて鴻毛より軽いものの価格算定について不満があるから算盤を弾き直せといふことらしい。北海道新聞より。

札幌で輪禍死障害者の両親 「逸失利益ゼロは不当」 加害者らを提訴へ

http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20070315&j=0022&k=200703152683
「慰藉料が健常者と障碍者で異なるのは命の価値に差を設けることとなり許されない」と主張するならわかる。私はその主張を全面的に肯定するつもりはないが、それなりに説得力はあると思はれる。だが本件での遺族の主張はかうである。


 両親は「障害者だからといって、命の対価と考えられる逸失利益がゼロ円なのは明らかな差別で、人権を無視している」と訴える。
逸失利益とは命の対価ださうな。思ひきり嫌な解釈をすると(といつてもそれ以外に読みやうはないが)、逸失利益の大きい人間ほど「命の価値」が高かつた人間であり、さうでない人間、例へば私のやうに自分一人を養ふのにも難渋するやうな低収入の人間は屑、カス、ダニ、氏ねぢやなくて死ね、全部男が悪い、さういふわけである。私はただ世間の片隅でひつそりと生きてゐるだけなのに何て酷いことをいふ人たちだらう。言つてないけど。


さて下記の読売新聞の記事によると障碍者の月収は平均で1万5千円とのことである。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20061130ik04.htm


では下記の逸失利益を計算するサイトで計算してみようか。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/IssituRieki/IssituKeisan.html
被害者の年齢(17歳)、年収(上記の月1万5千円×12=18万円)を入力し、被害者は男性だから生活費控除率を50%として計算すると下記のやうな結果が出力された。

【死亡の場合】
年齢      17歳
年収      180000円
生活費控除率  50%
ライプニッツ係数(年利率:5%)を選択
17歳から67歳まで50年間に対応するライプニッツ係数 18.25593
17歳から18歳まで1年間に対応するライプニッツ係数 0.95238
【計算式】
180000×(1-0.5)×(18.25593-0.95238)= 1,557,319円

一千万単位ならともかく、この額では逸失利益やら何やらを慰藉料に全部放り込んで計算した方が無難に思へる。「遺族感情に配慮」して逸失利益を別途計算して「貴方達のお子様の生涯の逸失利益は160万円です悪しからず」とかやつたら多分遺族の方は怒るんぢやなからうか。

結論? まとめ? 何でもいいか。

障碍者逸失利益を0円とするのはをかしい」とやる前に、そもそも障碍者の賃銀をかくも低水準のまま放置することの方が正義に適はないと主張すべきだらうよ。といふか、

かういふ条件下で下される「経済的に合理的な選択」つてのは「障碍者を事故か何かに見せかけて殺害し(または事故死しやすい環境下に置くことを常態化する)賠償金または保険金を請求する」以外に有り得ないと思ふのだがいいのかそれで。いいんだらうなあ。
何てお優しい人たちなんだらう。差別主義者だと公言してゐる私ですらとてもそんなことは口にできないといふのに。反吐が出ますね。