さてお便りの紹介です。

昼過ぎに某地方自治体にお勤めのF氏からこんなメールが届いた。


件名:蟻川痴漢逮捕
本文:知り合いの台湾人の留学生(憲法学専攻)から情報提供。私に何とコメントしろと?!そういうわけで、君にコメントを任します。

なんと。
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  ) 丸投げですか。
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \     | |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  LaVie / .| .|____
    \/____/ (u ⊃

思はずタクティクスオウガ「僕にその手を汚せというのか」といふのが頭に浮かんだが余り気にしないことにする。頭髪に悪いし。
まあまづは記事をみてみよう。新聞社系はすぐ記事をリンク切れにしやがるのでライブドアから。もつともライブドアも似たやうなもんだらうとは思ふのだけど。

東大は痴漢の温床?? 「高貴な顔立ち」の教授逮捕

http://news.livedoor.com/article/detail/3162982/


蟻川教授は痴漢の理由を「好みのタイプなのでやった」と自供。同13日に釈放された。
ああこれは冤罪ですね。理由? うちの日記の現在のタイトルを音読してみてもらへますか。さういふことです*1。きつと改憲して日本を戦争にできる国家にしようとを企む某日本国総理大臣の手の者が気鋭の憲法学者の権威を貶めやうとしたのに相違ありません。プロ市民的まなざしから見ればの話ですが。
TBS的な励ましの気持ちに溢れた視点は脇に置いて先に進むとしますか。

東北大学J-CASTニュースが取材すると、庶務係の女性職員は、

「私どもは今日のニュースで知り、話し合ったのですが、そういう人(痴漢行為をする人)だと話す人は一人もいませんでした」
と痴漢行為を行うなんて不思議だと話した。

ああ、先日目出度くお辞めになられたと仄聞する森…ゲフンゲフンあの方が悪目立ちし過ぎて目に入らなかつたと*2
ちなみに我がマイミクからの情報によると、彼のゐる大学ではその話題でもちきりらしい。そらさうか。テロ朝から電話取材も来たとか。蟻川教授の写真が欲しいらしい。誰がやるか。そもそも持つてないけど。
前後するがその前の文。

東京大学広報はJ-CASTニュースの取材に答え、蟻川教授が痴漢で逮捕されたという報告は蟻川教授自身からは出されておらず、同15日の昼前のニュースで知ったことを明かした。そして、

「現在は事実確認中で、事実であれば早急に適切な措置をとることになります」
と話した。

かういふ「自己に不利益な情報」を本人が職場に報告する義務はあるか、またマスゴミなどの他者がその情報を勝手に流して本人に不利益を与へた場合の情報をコントロールする権利としてのプライバシー権云々等については、すぐれて人権的な問題ではなからうか。それこそ憲法の講義でやるに値するやうな。

本件については大した感想もないのだが、蟻川教授(当時は助教授だつたやうな)について私が記憶してゐるのは、「憲法の講義なのにフランス革命の話ばかりしてゐた」といふことくらゐである。私の記憶はかなりいい加減だから実際はさうでもなかつた可能性も大いにあるが。そしてフランス革命(及びその系譜に連なる日本国憲法の要諦は「中間団体(中世のギルドとか、個人と国家の間にある諸々の集団のこと。)の破壊」であり、今なほ破壊し切れなかつた最後の中間団体は「家族」であると。強大な国家の前に原子化された個人を放り出してどうするよ、ろくでもないことを宣ふ御仁もゐるものだと吃驚したやうな気がする。もつとも、手元に講義ノートがあるわけでもなし実際さうだつたかはこれまた確言いたしかねるが、まあ私はさう記憶してゐる。で、講義の感想を書けといふので、薬をキメ過ぎて路上で全裸で死亡した芸人の如く尖つてゐた*3当時の私は「中間団体はいいものだ」みたいなことを書いて提出した記憶もある。これは確か。
あと何かあつたつけか。さうさう、「八月革命説」の講義も記憶してゐる。といつても講義の内容自体ではなく、講義中は余りにもアクロバティックな論理展開に納得したやうな気になつたものの、後からノートを読み返しても教科書を見てもわからなかつたことを記憶してゐる。立て板に水とまくしたてられるとわかつたやうな気分になるのは私の数多い欠点の中でも最悪の一つであり、後に秋葉原エウリアンに遭遇してヤフオクでは二束三文にしかならない絵のローンを5年もかけて支払ふ羽目になつたがそれはまた別の話である。書いてて涙出てきた。

気を取り直して八月革命説でぐぐると面白いものが出てきた。

衆議院会議録情報 第147回国会 憲法調査会 第3号

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/147/0089/14702240089003c.html
参考人西修駒澤大学教授の発言。ちなみにこの方は「『日本国憲法は世界で唯一の平和憲法』? 莫迦ぢやねえの?」(無論かういふ直截な表現はされてをられない)と主張してをられるため「護憲派」のメディアには余り出てこない方だつたりする。


一つは、宮沢俊義教授であります。後の丸括弧の中をごらんになっていただければわかるように、一九四六年十月一日、貴族院の帝国憲法改正案特別委員小委員会、これは非公開でありましたが、この中で次のような発言をなさっていらっしゃいます。
 宮沢俊義教授については、あえてここで説明する必要はないかと思います。戦後、東大法学部教授として長年教鞭をとっておられ、多くの弟子の方たちが、今の日本の憲法では有力な人たちになっております。そしてまた、ある時期から、護憲の方の非常に強い旗印を掲げておられた一人であります。
 その宮沢教授が、この小委員会で次のように述べております。「憲法全体ガ自発的ニ出来テ居ルモノデナイ、」「重大ナコトヲ失ッタ後デ此処デ頑張ッタ所デサウ得ル所ハナク、多少トモ自主性ヲ以テヤッタト云フ自己偽瞞ニスギナイ」
 この宮沢教授の言葉のキーワードを言うならば、憲法というものは、非自発的、非自主的、そして自己欺瞞である、宮沢教授ははっきり言っているわけであります。
八月革命説の主唱者たる当人がかういふことをいつてゐるのを知つて以降、日本の憲法学者の大多数に対してある種の諦観を抱くやうになつた。
m9(^Д^)プギャー
↑を「諦観」といふのも何だか違ふ気もするが、内心を表現する一番近い言葉を捜すとこれになる。


こんなところで宜しいか>F氏

*1:先にいつておくが、「犯行現場」が女性専用車両のない山手線である時点で既にどうしやうもなく破綻してゐるのでいちいち突つ込みは要らん。

*2:一応フォローしておくと「あの方」は「電波」であつて「痴漢」ではなかつた。それはそれで十分に問題だが。

*3:弁償できる金が無いからガラスも割らなかつたし運転技術を保証する免許もないからバイクも盗まなかつたが。そもそも十五の夜はとつくに過ぎてゐた。