手順を踏め手順を。

痛いニュースから。

「今の氏名のパスポートじゃないと、修学旅行行きたくない」“母の離婚前妊娠で無戸籍”の女子高生、旅行断念

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/989619.html
先日関連するニュースを取り上げた際、支援者のリーダーがもろに左巻きプロ市民で失笑したわけだが、結局かういふ結果に終つたらしい。外務省をはぢめとする今回の騒ぎに巻き込まれたお役人の方々には労ひの言葉を贈りたい。
で、当該スレに書き込まれてゐる、

  • 法的には女子高生の父にあたるとされる人物
  • 生物学的に女子高生の父にあたる人物
  • 現在女子高生とその母親と暮らしてゐる、いはば世間的に女子高生の父にあたる人物

がそれぞれ異なるといふ情報については、2ch以外のソースが見当たらなかつたので真実としては扱はない方向で。だつてこれが真実だと論じる必要性自体なくなるし。
この女子高生とその母親及び「支援」団体は、「『生活の実態』に合はせて法を枉げよ」、さらに明け透けに表現すると「御託はいいから自分達のいふ通りの氏名で公的な書類を発行せよ」と主張してゐるわけだ。そんなことするなら国民総背番号制も導入しないと個人の同一性は保持できないよな、これがアイデンティティクライシスかと莫迦なことを考へたがそれは脇に置いてタイトルの話に戻す。
嫡出推定が嫌だと出生届を故意に提出しなかつた結果発生する無戸籍児問題については、
1.DV等、一方の当事者により他方が害されるケースが想定される場合は住所の不開示や、一時避難先のシェルター等を住所と認めるやうに訴訟法を改める。

  • つて、いちいち調べないけど今はさういふ制度になつてないの? ひどいな。
  • といふことはヤクザの親玉訴へた裁判とかでは原告の住所相手に丸分かりか。それはどうなのよ。

2.親子関係不存在確認の訴を提起して、現時点での「法的な父」との親子関係を否定する。

  • かういふ身分訴訟では裁判所が職権でDNA鑑定をできるやうにすればいいんだが、恐らく民法学者は反対するだらう。
  • 嫡出否認の訴同様、親子関係不存在確認の訴も法できちんと定めればいいと思ふがこれまた民法学者は以下略。

3.2の結果をもつて戸籍を作る。

  • 不利益処分ではないから遡及効を認めても問題ない。
    • 厳密にいへば無戸籍児に戸籍を有する兄弟姉妹が存在して相続分が云々とかあるが面倒なので考へない。さういふときは遺言書け遺言。
  • といふか不適法な出生届提出された時点で役所が職権で暫定的な戸籍を作れるやうにしたらどうよ。

4.パスポート作る。
これでどうよと思つたが本件のやうに修学旅行が近づいてから無戸籍だけどパスポート寄越せ、法律なんかどうでもいいから氏名はこちらのいふ通りに表記せよと喚いてゐるやうな場合には全然間に合はないな。駄目ぢやねえか。
それでも十数年前から十年一日の如く同じ主張を繰り返すより、かういふアプローチをしてゐた方がよりましな結果を招来できたと思ふがどうだらう。
次に大揉めするのはこの女子高生が母親になつたときあたりか。それまでに女子高生が戸籍を取れてゐれば何の問題もないわけだが、今の運動のやり方のままだと望み薄だらう。父親も無戸籍でない限り日本国籍は取得できるだらうが。