おいおい。

こんな時間に家路につけるなんて何の冗談だらう。
歓迎会で私の新しい上司から、私の前の前の職場(つまり私の最初の職場だ)で一緒だつたI氏から、私のことをよろしくと電話があつたことを聞いた。何でも以前I氏が異動した際に同じ職場だつたとか。大変有難い心遣ひである。
正直なところ私はさういふ方面には疎い。「心術に劣る」といふやつだ。だが、自分がさういふ人に比して何かに劣る、また何かに欠けるといふ自己認識からこそ何かを始めることができるのではなからうか。
さう、例へば私がいつかまた誰かを見送る日が来たときに、その誰かを受け入れる先にほんの一言でも挨拶することによつてその誰かが新しい日々をより良く過ごせるやうに。私の一言を受ける人が私に悪意を持つてゐなければ、それはかなりの確率でプラスに働くに違ひない。



…すると私は何も言はない、何もしない方がその人のためになるわけか。何だこの結論は。