意見書を一読しての疑問。

さて。本意見書が採択された経過を知るための議事録は6月の定例会までに作成されると議会事務局の職員から聞いた。つまり、採択の経過を現時点で知らうとするならば、直接議員に尋ねるしかない。しかしながら提案者である公明党の高橋悦朗氏に疑問点を尋ねようにも彼はメールアドレスも公開してゐなければブログも開設してゐないやうなのでネット経由での質問は不可能である。で、私は本日たまたま休みが取れたが平日の昼間に彼の事務所に行くのも電話するのも事実上不可能である。土日に直接行けばいいぢやないかと思つたが私の方向感覚では辿り付けるか怪しいのでそんな労力があるなら別のところに割きたい。といふわけでブログを開設してゐる蕨市議会議員の大嶋公一氏にトラックバックを送ることで公開質問状に代へることとする。何故彼を選んだかといへば、通勤時に駅前で演説やビラ配りをしてゐる彼の姿をよく見かけるからである。ひどい理由だ。
で、これは大嶋氏ではなく読者諸兄姉の誰かが疑問に思ふかもしれない*1「何故提案者ではない賛成者の一人に聞くのか」といふことについて予め答へておく。簡単に言ふと「賛成者として名前を連ねた以上責任があるから」である。文案を考へたのが誰であらうと、それに賛成し名を連ねた以上、当該案件に対しての説明責任は当然その者にも発生することになる*2。職場での例を挙げると、稟議が回つて来てその内容に疑問や反対する点があつたとしても、それに判を捺したならば後で「実は反対だつた」などといふことは通らない。百歩譲つて起案者に文句をいふことはできはしても、その件について何か影響を受けた相手方は勿論、全く関係のない第三者に対してもさういふ言ひ訳はできないし、してはならない。
といふわけで本意見書の賛成者である大嶋公一氏には以下の疑問に答へていただくことを切に希望する。ちなみに大嶋氏の本件に関するエントリーはこちらである。

蕨市議会3月定例会代表質疑(3日目)−おおしま公一活動報告

http://blog.goo.ne.jp/weboshima/e/888260e3b57f222b0f346465efb1f8f0
疑問点

  1. 何故意見書の件名が「カルデロン・アラン・クルズさん一家の在留特別許可を求める意見書」ではないのか。当該一家の所謂「家長」はカルデロン・アラン・クルズ氏であることが推察されるが、何故彼の名前ではなく、東京入国管理局(以下「入管」)も在留特別許可に前向きな意向を示してゐるとされる、つまり本人達が望めば本意見書の提出には左右されることなく在留特別許可を認められる可能性の高いカルデロンのり子嬢の名前を件名に入れることを選定した理由は何か。
  2. 「報道がされた」、「伝えられた」との表現があるが、当人達から事情を聴取してゐないのか、さうであるならばそれは何故か。
  3. カルデロンのり子嬢が母国語を話すことはできないとした根拠は何か。両親ともフィリピン人であるならば、家庭内ではフィリピンの母国語を使用することの方が自然であると、少なくとも私はさう考へる。本件に関し当事者及び学校関係者、近隣住人等の複数からそのような事実があることを確認したのか。また確認したならばどのやうな手段でそれを行つたか。
  4. 東京入国管理局の決定、並びに確定した判決は十分に重いものと認識し」ながら、それを覆すような判断を法務大臣に求める根拠は何か。入管及び裁判所も当然蕨市のいふ「前述の状況」については考慮した筈である。入管及び裁判所が認知しておらず、かつ蕨市議会が把握してゐる特段の事情があるのか、またあるとするならば何故それを意見書で陳述しないのか。
  5. 前述の通りカルデロンのり子嬢「のみ」については入管も前向きな意向を示しているとされる。であるならば、本意見書の求める「のり子さんの成長と学習を保障する」ことは、カルデロンのり子嬢が「両親と共に」日本で暮らすことが絶対条件ではない筈である。何らかの事情で親元を離れ生活する子供は確率的に珍しくはあるといへるかもしれないが存在しないわけではない。またそのやうな子供たちにも成長と学習を保障することが必要であることは言ふまでもない。であるのに何故本件では入管や裁判所、法務大臣の判断を是認せず飽くまで例外的な措置である、言はば「法を枉げる」やうな在留特別許可を求めるのか。



以上である。大嶋氏には可能であればカルデロン・アラン・クルズ氏一家の仮放免期限である9日までには回答を賜りたい*3

*1:大嶋氏が疑問に思ふとは微塵も思はないが。

*2:だから私は署名には滅多に応じない。

*3:過ぎてしまへば次の選挙の判断材料にはなるかもしれないが、今回の採択に関する説明責任を果たしたと言へるだらうか? 私は言へないと思ふ。