世の中に 惜しまるるとき 散りてこそ 花も花なれ 人も人なれ(月清入道)

  • 弘前のとある家が傾いた。
  • 家と土地を処分するにあたり、他の樹木は植木屋が引き取つてくれたが裏の竹藪にある遅咲きの桜は引き取つてくれなかつた(弘前は桜の名所だけに引き取るだけの希少価値はない)。
  • 困り果てた家人は市役所にフカシこいてこの桜は貴重なものだと力説した。
  • 説得の甲斐あり市役所は件の桜を引き取り公園に植ゑ、「雪明かり」と名付けた。
  • その後学者が調べたところ、珍しい種類の桜であるとの鑑定結果が出た。
  • かくして持て余されて市に押し付けられた桜は「弘前雪明かり」といふ名所となつた。
  • めでたしめでたし。

この縁起を信じるかは読者に任せる。