高校生の頃

廃線跡の道路を自転車で通学してゐた。月の出てゐる夜にはよく「自分がどんな大人に成るのか」と考へながら走つてゐた。「一角の人物」にはなれなくとも「人並みの人物」にはなれるのではないかと根拠もなく思つてゐた。
それから約二十年が過ぎた今。カラスの糞尿の臭ひのする居間でもそもそとスーパーの見切り品の惣菜を食べる夜。
遅くとも中学生の時までに自決しておくべきだつたなとしみじみ思ふ。後悔先に立たず。