丸の内線

「おっとCHIKAN!」?

職場最寄りの駅で降りようとしたら、後ろで何か揉めてゐる気配がする。振り向くと若い女が若い男のショルダーバッグの肩紐を掴み、痴漢だ、駅員を呼んでくれと騒いでゐる。男は容疑を否定してゐる。そらさうだ、やつてようがやつてまいがさう言ふのが利口と…

目の前で

乗客の腰から背中にかけてわさわさと撫でさすつてゐる手がある。 ジェンダーフリーだかジェンダーレスだかに欠片も理解を示すつもりがない私は「よそでやれ」と意思を込めつつ生暖かい目で眺めるが止める様子はない。目は口ほどにものを言ふといふのは嘘つぱ…

朝。

いつも通り満員電車に揺られてといふか潰されながら出勤。ただ今朝は珍しい光景を見た。 私の隣にゐた女性が前に立つてゐた女性に席を譲つたのだ。具合でも悪さうに見えたのかと思ひ私も眺めてみるとハンドバッグにマタニティーマークがついてゐた。 実際に…

朝。

私の前に背中を見せて立つ青年がかましたと思しき屁の臭ひで気が遠くなる。カメムシのやうな臭気とは内臓の具合でも悪いのだらうか。 いつもはいらつく車両の揺れで空気が動き人心地がついた。