粕味噌の屁の匂ひなりけり。

むかしむかしあるところに、珊瑚に優しくない新聞社と、その年の新人編集者が高学歴なのに如何に「不思議ちやん」でかつ個性的かを、社名を冠した雑誌の巻末でひけらかす雑誌社がありました。
ふたつの会社の主張は正反対のことが多く、互いの意見を莫迦にしあつてゐましたので、周りの人たちは彼らは仲が悪いのだと思つてゐました。
ところが、です。新聞社のトップは、数多ある雑誌のなかで、もつとも雑誌といへるのはその雑誌であるからと、その雑誌を「ザ・マガズィーン」と呼び、雑誌社の方も同様の理由で、その新聞を「ザ・ペーパー」と呼んでゐました。
嗚呼、なんといふことでせう。かつての自分達のエースがプロ市民たちに活躍の場を与へてゐる雑誌は、「ザ・マガズィーン」ではないといふのでせうか。老いて尚スポーツ界に容喙し、あちこちで色々叩かれてゐる御老体がヘッドの新聞は、「ザ・ペーパー」ではないといふのでせうか。

…さて。幼い頃から鼻炎持ちだつた私の鼻は余り性能がよろしくない。だが、そこに漂ふ、歪み切つた選民意識が醸し出す腐臭に気付けぬ程でもない。喜ぶべきかはさておいて。