私も叔父といふものになつたらしい。

帰宅途中の車内で電話がかかつてきた。通勤快速の通過待ち中だつたためホームに降りて電話に出た。母からだつた。姉が昨日男児を出産したさうな。めでたいことだ。私に似なければな。
さて、私にはちよつとした目論見があつた。義兄に祝ひ金を贈りその金で甥の包皮を切除して貰はうと。
やがて甥が成長して他者と己を見比べたとき、初めは私を恨むだらう。だが、彼が更に成長して何事かを知つたとき、彼にとつて私は義兄の次に尊敬すべき男になつてゐるだらう。
と、夢想してゐたのだが、これを見て考え直した。切るのはいつでもできると。
こんな叔父をもつた彼に幸あれと、切に願はざるをえない。