下町のナポレオン。

といへば「いいちこ」だが、昔からこの酒のCMはどこか哀愁を感じさせるオサレなもので、酒も飲めない子供の頃からお気に入りだつた。私の住んでゐた地方では日曜日の夜にそのCMが流れることが多かつたことも私の哀感を刺戟したのかもしれない。
といふわけで購入してみた。「時は今、君の中」(ビリー・バンバンASIN:B0002T20F2)を。「結成35周年記念アルバム」とうたつてゐるが、私にとつては「いいちこベストアルバム」であり、それで充分である。
早速PS2にセットして聴く。しかし我が家のPS2はゲームのみならず、音楽やエロDVDの鑑賞に非常に重宝してゐる。
曲は私の記憶にあるそれより外連味があり、少々興が削がれたが、過去にひたることはできた。
エロビデオをダース単位で集めたり、ラノベエロマンガで柱を作つてみたり、今してゐるやうに過去の欠片を掻き集めたところで、心の穴は埋まりはしないのに私は何をやつてゐるのだらうか。未練もここまで来れば滑稽といふほかない。


まあその何だ、子供の頃に精神的に満たされる経験をすることは大事だよなと、自分でも失笑する陳腐な結論に落ち着く。僻み根性が抜けなくなつたとしても、私のやうに社会の片隅で棲息する分にはさしたる害もなからうが、ゆとり教育とやらを推進して莫迦を量産したのもゐるしな。世の中の親御さん達には少しばかり用心してもらひたい。