憲法記念日といふことだし御紹介。

平成九年に刊行された本。ちなみに今年は平成十七年。

憲法体系の類型的研究

　わが国の憲法学会では、日本国憲法をもっぱら大日本帝国憲法と比較し、その特質を引き出そうとしているので、非常に幅の狭い憲法論が横行しているように感じられる。たとえば、いまや日本国憲法は、世界一七五か国の現行成典化憲法中、古いほうから数えて一五番目であるにもかかわらず、いまだに「新憲法」扱いされている。またこんにちでは世界でいわゆる平和主義条項を包含している憲法は約九〇にのぼるにもかかわらず、日本国憲法は、「世界で唯一の平和主義憲法」といわれたりしている。そろそろこのような謬論から解き放されるべきである。そのためにも、世界の全憲法に目配りした「比較憲法」書の必要性がもっと強調されなければならない。

解放の日はまだ遠いやうだ。