投宿。

S氏の叔父上の別荘に投宿するべく山道を登る。予定では夕方過ぎの到着予定が、色々あつて夜中になつてしまつた。山の上にあるものだから途中の道は真つ暗である。そのため何度か迷ひかけた。
別荘前に着くと、S氏の叔父上が別荘から懐中電灯片手に迎へに降りて来てくれたが、連れがゐた。犬だ。大きい。そして落ち着きがない。別荘までの短い坂道を登る間、暗闇から突然懐中電灯の光の輪の中に入つてきてはじやれつく犬に、女性陣は悲鳴を上げてゐた。
別荘に入り荷物を置いて、主である氏の叔父上に挨拶をする。私は照明があるところでレトリバーだと判明した犬と戯れながら挨拶をする。無礼極まりないが、離すと走り回つて挨拶どころではない。
しばらく氏の叔父上を交へて雑談。私は犬を引つ繰り返して腹を掻いてやつたりボールで遊んでやつたりする。昨日抜いた「獣皇*1」に出てた犬と同じ種類だよなと思ひつつ。そんな私の内心を知るべくもない周囲はただ懐かれてゐるとしか思はなかつたやうだ。犬好きに悪人はゐない。たしかトリカブトで愛犬家たちを毒殺した男もさう言つてゐた。長野の山中でも私のイメージ戦略は冴えてゐる。
S氏の叔父上が犬と共に去つた後、しばらく雑談を続けてから就寝。

*1:白黒二頭の犬と女性がナニをするといふ、製作者及び出演者ばかりか観賞者まで品性を疑はれる逸品である。