キタコレ

先日無謀感心にも著名な政治学者にメールでの質問を敢行したところ、早くも返事が来た。
転載条件のひとつがリンクの表示といふことなのでURLを貼つておく。
http://www.tkataoka.com/
ちなみにメルマガはたしか年間5,000円。
では転載。


送信者: アメリカ通信管理 森
宛先: XXXXXX@XXX.XXX.ne.jp
日付:Tuesday, June, 07, 2005, 12:36 AM
件名: Fw: Re: 片岡鉄哉アメリカ通信【 Vol. XI, No. 65】



緑犀浄庵*1
アメリカ通信のご愛読、ご意見ありがとうございます。
片岡よりの返信を転送させていただきます。

公開に際しましては、以下の2点、お願いできればと思っております。

1.アメリカ通信へのリンク(http://www.tkataoka.com/の表示等)と
2.メールアドレスの非表示

誠に勝手ではございますが、何卒お願い申し上げます。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
------------
片岡鉄哉アメリカ通信 担当 森 貴永
XXXXXXX@XXX.XXX.ne.jp
http://www.tkataoka.com

Forwarded by アメリカ通信管理
---------------- Original message follows ----------------
To: アメリカ通信管理
Date: Mon, 6 Jun 2005 22:29:26 +0900
Subject: Re: Re:片岡鉄哉アメリカ通信【 Vol. XI, No. 65】

  • -

拝復
私が分祀を提案し、総理が東条氏らをA級戦犯であると政府として確認しました。A級戦犯だと認めてしまうと、もう何をかいわんやという感じです。A級戦犯ならば、最低限、分祀は避けられない、と私をふくめて、誰でもおもいそうですが、総理は「A級戦犯でも合祀を続けて、参拝する」ということです。この理論はめちゃくちゃだ。
私が分祀を提唱したのは、ミニ靖国、或いは第二の靖国をつくって、日中の論争から隔離する目的でした。分祀の目的はA級戦犯でないという地位を守るためです。ただし、ミニ靖国には天皇、総理、閣僚、外国元首の参拝は不可能になります。公明党のさぐりに応えて、中国政府は分祀で問題解決する意図だったように見ました。
しかし総理は最悪の道を選んだようです。戦犯だと認めて参拝は続けるわけですから。私的な参拝であって、公式でないというのは拙劣です。これでは「やってみろ」とけしかけるようなものです。
こうなると、中国はB、C級も他に移せという可能性があるでしょうね。特にC級は法の概念として世界中の国家が受け入れているもので、日本が、情状酌量の余地があるにせよ、一方的に「恩赦」したことは、中国にとって絶好の悪行と見えるでしょう。
無論、北京政府は小泉の「共通戦略目標」つまり日本の台湾防衛に対する報復としてやっているわけです。中国は国内の反日教育に200以上の抗日戦争博物館を使っていますが、ここで強調するのはB,C級だけです。無知な国民を駆り立てるには残虐非道の日本兵を見せるわけです。
しかし外交上ではA級だけを叩く。それはA級こそが日米間の難問であることを知っているからです。A級戦犯とは真珠湾攻撃であって、中国は関知しない問題です。しかしこれを持ち出すと、日米を割ることができるのです。
日米はこの問題はいじらないという紳士協定がありましたが、中国が問題にとりあげ、総理が犯罪と認めた以上、現状維持は不可能でないのでしょうか。ブッシュと一緒に参拝しても、これは解消しないわけです。

次に政教分離の原則ですが、私の見るところ、靖国神社が一方的に合祀をして、国際問題をつくりあげ、中国が文句をいうと、政教分離の原則を使って、政府は干渉するなというわけです。これは宗教の自由の問題から、宗教が政治に優先するという問題に変わったと思います。靖国神社が何をやっても、政治は黙って見ていろということですが、国会は黙っていないでしょう。
国益が大きく損なわれる場合には宗教の独立もへったくれも吹き飛びますよ。今となっては、小泉総理も吹き飛ばされそうになってきた。

ケナンについて。彼が正しかったと思います。アメリカは戦争行為として東条氏らを処刑すべきでした。それは野蛮だということで裁判をしたのは過ちです。裁判のおかげで東条氏は英雄になったわけです。
私の理想としては、次のような処置を考えていました。東条氏の裁判は無視して、彼が報復によって処刑されたとみなして、ミニ靖国分祀し、彼が無罪であるということにする。しかしこれは既に不可能です。総理が有罪だというのだから。
しかし東条氏はA級戦争犯罪などは犯していませんよ。私は慙愧の念にたえない。どうして日本の外交はへたなのか。
ケナンに対して私がしたことは、彼の種本を復刻して出版したことです。ケナンのお師匠さんがいたのです。
平和はいかに失われたか―大戦前の米中日関係もう一つの選択肢 How the Peace Was Lost: The Nineteen Thirty-Five Memorandum Developments Affecting
American Policy in the Far East ISBN:0817991514
ジョン・ヴァン・アントワープ マクマリー (著), アーサー ウォルドロン (著),
John Van Antwerp MacMurray (原著), Arthur Waldron (原著), 北岡 伸一 (翻訳),
衣川 宏 (翻訳)

How the Peace Was Lost: The Nineteen Thirty-Five Memorandum
Developments Affecting American Policy in the Far East (F)
Click here to
compare prices
for this book
from 60 stores

Author:
John Van Antwerp MacMurray Robert Hessen (Editor) Arthur N. Waldron
(Editor)

ISBN:0817991514*2

Publisher:
Hoover Institution Press

Date published:
January 1992



これをフーバー研究所から出版したのは私と友人の二人です。その後、日本の学者のあいだで有名な本になりました。これがケナン先生への手向けですね。偉い学者で外交官でした。
この返信は自由に転送して結構です。またおたよりください。片岡


----- Original Message -----
(以下私のメールが添付されてゐたので割愛。)

読者の皆様が中共政府の企みを知る一助になれば幸ひである。

*1:いふまでもないが実際は本名で来た。

*2:転載者注:原文は改行されてゐたがリンクの便宜のため一行にした。