本日の調達品。

天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)

天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)


そりゃ旦那、自由平等は結構なことでござんすよ。だが、口で言う連中は、どだい女郎の苦しみなんざ知らぬ坊っちゃん、嬢ちゃんだ。やつらが人権がどうの差別がどうのってえ、太鼓たたいて足抜けさした女どもが、それからどうなったか。国に帰ってまっとうな暮らしを始めた者なんぞ、ただのひとりもいやあしねえ。


残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)

残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 (集英社文庫)


そうだ。畜生は乳離れをしたとたん親を忘れる。ときには親を弑し、食らいさえする。人間は人間であるかぎり、けっして親を憎んではいけない。たとえどのような親であろうと、けっして恨んではならない。親に対する恨み憎しみは、おのれの血を蔑むことだ。おのれを蔑めば、人間はただのひとりも生きては行けない
…さうか?
それはさうと、最近親を殺した後に映画や温泉に行つたりした少年がゐた。取り調べにも実に素直に応じてゐるさうな。理性的に判断を巡らせて犯行に及んだ点は、まさに刑法の想定してゐる犯罪者であり、これこそ近代的自我であり戦後民主主義の精華だと、法学者の皆様がかの少年を讃へないのは大いに不審である。
無論近代的自我や戦後民主主義に余り大した価値を認めない私は、口答へする以外には両親を殺害するといふ選択肢しか持たなかつた彼について、問題解決能力に見込みがなささうだから、さつさと吊してさしあげたら如何なものかと考へてゐる。


…まあその、何だ。私も今月で三十路になる身だから、ここ数年は実家に帰省するたびに彼女はゐないのかとか結婚はまだなのかとか突かれる。親を満足させる回答を持ち合はせない莫迦息子としては、さう言はれるのがわかつてゐるから当然実家からは足が遠のくわけで。そろそろ本気で北海道行つて露助の姉ちやんでも釣つてくるかね*1
さて。今年もそろそろ帰省の日取りを考へる時期になつてきたので、同時に親と悶着を起こさないやう心の準備が必要だ。今のところ親より先に死亡してゐないことと、「身体髪膚、これを父母に享く。あへて毀傷せざるは孝の始めなり」といふことで、耳に穴開けたり身体に彫り物を入れるやうな自傷行為をしてゐないことくらゐしか親孝行をした記憶がないので色々肩身が狭い身としてはこの種の備へが欠かせない。
で、この作品である。先日自宅に女性を「監禁」した小林「王子様」とやらが、女性に自分のことを「御主人様」と呼ばせてゐたことを思ひ出したので買つてみた。あんなのでも結婚はしてたらしいので、この中にヒントがあるのではないかと。
結論。資産家で見苦しくない顔なら何とかなる。
買ふ前にわかつてゐることをあへて身銭を切つて確かめる、自分の知的誠実さが疎ましいけふこのごろ。

*1:釣り餌は日本国籍。こんな餌しかないから喪男なわけだが。