雷雨。

TVを買ひ替へるべく新宿の家電量販店を眺め、20インチで8万円前後といふ値段に驚く。無論サイズを下げると安くなるが、あまり小さい画面だとエロビデオを鑑賞するのに難儀だから却下。
とりあへず候補を選定しただけで撤収し、博多天神でラーメンを啜る。食べ終る前に雷鳴。勘定を済ませ駅に急ぐ。幸ひ電車は止まつてゐなかつた。
激しい雷鳴と稲光の下、とぼとぼと家に向かふ。ふと約二十年前のある夏の日を思ひ出した。友人達と外で遊んでゐたら、急な雷雨に見舞はれた日のことを。かなり近いところに雷が落ちるやうなそれに半ば恐慌状態になり家に駈けながら、何が可笑しいのか我々は大笑ひしてゐた。家に着いて家人に呆れ叱られ、渡されたタオルで体を拭きながら、なほも笑つてゐた。
何故ああも屈託なく笑へたのか、屈託の固まりと化した今となつてはさつぱりわからない。