同期会。

といふわけで同期会。居酒屋「月の宴」にて。十分ほど道に迷つて店に入る。下足箱に靴を突つ込もうとするも、空いてゐるところがほとんどない。とりあへず「る一」のところが空いてゐたのでそちらに突つ込む。「るー」ぢやなくて「る一」なので念のため。私は出渕理論の信奉者だから草壁さん派だ。何の話だ。
開始時間数分前だといふのに、席には半分ほどしか着いてゐない。それで些か軽くなる自分の心のありやうを冷笑しつつ席に着く。結局先に酒や食事を頼むことに。皆が揃つた状況でそれぞれ近況報告と自己紹介。
酒宴は普通に過ぎていく。私にとつて普通といふことは、疎外感を抱きながらといふことにほかならない。どれほど相手が親しい者であらうと、他者である限り私に疎外感を与へないことはない。ちなみに面子の中で最も私に友好的だつたのはカトリックで左翼でなほかつ二次元は駄目なA氏。いふまでもなく私とは宗教的にも思想的にも対極に近い位置の人である。ここは笑ふところなんだらうかと自問しつつ旧交をあたためる。宗教的及び思想的理由で熱くも固くもなりやうがない友誼だが、それでも確かなものにはなりうるのではなからうかと無駄に楽観的な願望を抱く。
帰りの埼京線では折り返しだといふのに寝てゐる人がゐた。数瞬ためらつたが結局気になつて起こす。礼をいつてその老人は下車したが、果たして彼が下りるつもりだつたのはこの駅だつたのか。もしかして本来下りるべき駅は折り返した別の駅で、私が起こさなければその駅まで憩いつつゐられたのではないかと思ひ返す。かうでもしなければ善行を為したとの感覚を抑へきれない自分の甘さには嫌悪感しか覚えない。
気が付いたら数駅乗り過ごしてゐた。無論上りの電車はまうない。結局タクシーにて最寄駅まで移動。2,500円也。
途中のコンビニで酒を買つて帰る。まだ飲むのか俺。