虚実皮膜の間。

はい、「帰つてきた淨庵先生(彼女ゐない暦=年齢)のなぜなに恋愛相談室」の時間です。帰つてくる前にそんなものあつたかといふ疑問もないではないけれど。
この件への私のコメントについて先日未遂に終つた合コンの参加者から下記の質問があつた。
Q.


>よく女性から肌綺麗と言われていたのですが、それって究極の社交辞令なのですか?ちょっとショックです。
>何度か言われたことがあったので。
A.
大半の男性は化粧品などといふ化学薬品を肌に塗布する習慣を持ちません。そのため往々にして「スッピン」、即ち化粧をしてゐない状態の女性より肌が綺麗だといふことが起こります。
私がはてなブックマークでコメントしたやうな職業の女性の場合、昼夜逆転した生活、飲酒喫煙の習慣等の理由でその差が更に開くといふことは容易に理解できると思ひます。
で、社交辞令かといふご質問ですが、女性は男性の肌の綺麗さをほめるとき実際さう思つてゐるのですから、そこには真率な響きが混入するわけです。当然聞く側も悪い気分になるわけもなく、社交辞令としては心にもないことを言ふより抵抗感もないし相手方の好感も得やすい、かなり上出来な部類のものといへませう。陳腐なものとは効果的であるが故に陳べられて腐るに至つたのですから。
とはいへ男性の肌をほめる際の女性の言葉に羨望と真率の響きが込められてゐたとしても、彼女達の中では「化粧した自分の肌>化粧に無縁な男の肌」といふ不等式が成立してゐるだらうこともまた想像に難くありません。だからこそ安心(?)して羨望し賞賛することができるわけで。
長くなりましたがでは我々男性陣はその賞賛に対してどう応接するべきか。嘉門達夫だか誰かが「♪誰も知らない素顔の八代亜紀」と歌つたとき、当の八代亜紀は満更でもなかつたさうです。我々も彼女の雅量を見習ふべきでせう。「それ何か勘違ひしたからぢやねえの」といふ疑問はそつと胸に仕舞つておきませう。秘すれば花と古人も言つたことですし。