本日の調達品。

以前短編で出た話の続き。シリーズ化するらしい。悪漢小説は苦手なのだか妙に惹かれるものがある。

「人間というものは不思議な種族ね。憎しみも悲しみも愛情もいつまでも覚えている。かと思えば、失敗したことをすぐに忘れて同じことを繰り返す」
 それは、まるで自分はその範疇に存在しないかのような口振りだった。
 百の顔を持つ盗賊ギルドの女幹部にとって、人という姿もまた偽りの顔に過ぎないのかもしれない。
「短い寿命が、そうさせるのでしょう。ゆえに、その短い一生を満足に終えさせるために、暗黒神は人間を至高神の頚木から解き放とうとしたのかもしれません」

初めて『ロードス島戦記』を手に取つてから随分歳月が流れたが、歳をとると暗黒神の教義の方がすぐれたものに思へるやうになつてきた。至高神は昔から嫌ひだつたが。